静寂は長い叫びと似ている/ホロウ・シカエルボク
 
いたことのある違う曲と排気ガスの臭いが混じり合う
だれをどこに向かって走らせるのか?
チェッカーフラッグに飛びつく勇気のないやつらが繰り広げるレースが
台所を駆け抜ける鼠の尻尾を連想させる
十日前に右手人差指の右側面の皮がべろんと剥けてしまって
そいつはいまだに水だの血液だのをじわりと滲ませる
居酒屋のカウンターで酔いつぶれた誰かの寝言みたいな調子で
平穏無事な毎日が一番騒がせるのさ
この身が誰のものでもないような気がして
無感覚の穴に立ったまま落ちていきそうなそんな気がして
終始流し込むカフェインに出来ることなんか意外と限られてるんだ
ちょっと目が冴えたところでそんなもの
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