夜と白 ?/木立 悟
花のなかの蜘蛛が
雨を見ている
花を踏んでも 花は花のまま
垂直や そうでない水を受け入れている
自制の効かぬ音
道の途中の日時計
色褪せた鍵
水たまりの頬
亜鉛の息や
花の咳
やわらかさを空へ移すうた
さらにさらに さらに波
紙を四つに切り
いちばん小さな紙に希望を
いちばん大きな紙に呪いを書いた
どちらも同じだとは 誰にも言えずに
空の空の目 台形の目
かすかにひろがる かすかな目
胸かきむしり
やがてかきむしるものさえ無くなる目
冬の指が
冬の淵をなぞり
弾けない器を手繰り寄せ
空へ空へ刺そ
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