【批評祭参加作品】おーい、そろもん!/佐々宝砂
アヤシゲな魔道師という伝承ばかりが伝わってるわけではない。旧約聖書「箴言」は、ソロモン王の言葉とされている。「箴言」は、まあかなり説教臭い名言集だけれども、現在にも通じる部分は多い。例をひとつあげよう。
「自分に関係のない争いに干渉する者は、通りすがりの犬の耳をつかむ者のようだ」
(日本聖書刊行会の新改訳『旧約聖書』より「箴言」26.17)
この箴言は今だって立派に通用する。みつべえさんは、現在のソロモンをめざして箴言を書いているのかもしれない。だとしたら、72では足りないだろう。あるいは、人間に必要な箴言は、おおもとのソロモンがたいてい書いてしまっているだろう。なのに、あえて書く、
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