She/アルビノ
 
名前は彼女が好きな歌手の名前。シィの影であるぼくはさらにそいつの影にもなってしまった。だけど今じゃシィはそいつに見向きもしない。

 神様がぼくに名前と体をぽとんと落としてくれればいい。本棚の上に置いた神様の像にぼくはお祈りした。だけど離れていくどころかぼくらはどんどんとくっついていくんだ。シィがぼくを認識してくれないから。境界線が引けないよ。 シィ、ぼくを思い出して。



 いつの間にかぼくは6歳になっていた。大人になったシィはぼくを恐れている。彼女は本気で人を愛せない人。心理学者のフロイトは自己の確立が出来なければ他人を愛することは出来ないと言った。自己の確立を妨げるぼく。

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