She/アルビノ
「わたしは人を愛してみたいの」
あぁ、シィ、ぼくを殺さないで。
カウンセラーと向き合うシィ。いや、ぼく。
ぼくは病巣だ。癌だ。カウンセラーが手を握りながらぼくに教える。握られている手は温かいのだろうか。人形のようにひんやりとしているだろうか。シィが不幸になればいいと、頭の隅で思う。すごく名案に思えるのに忘れるしかなかった。まるでおろされてしまう胎児のようだ。殺人罪には引っかからないんだね。カウンセラーが、元に戻れればキミも幸せになれるのよと優しく笑う。その場しのぎの嘘だと思った。騙されてみようと思った。
だから ねぇ、お願い。いたくしないでね。こわくしないでね。ぼくの絵を捨てないでね。ぼくの詩を声に出して読んでちょうだい。
シィ、自分勝手な人。ぼくだって生きていたかったよ
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