自殺志願の犬/梅昆布茶
 

食事の皿の上をさまよった

僕は彼に言った

どうせ死んでしまうのに迷うことなんて無いさ
単に早いか遅いかの違いがあるだけさ

君はかつて無垢な心で世界を感受していた
真実を直感して生きていた筈さ

いちいち理由をつけなくても
物事は向こうから種をあかしてくれただろう
あるいは種なんていらなかったんだ
君という自由な規範があったんだもの

君は河原を駆け回るのが好きだった筈だ
好きなことには理由なんて要らないんだ
ただ喜びに飛び込めばいいだけなのに

人間の教える常識なんて曖昧でどうでもいいことが多いのさ
かたくなにそれをしょいこんではいけないのさ

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