海の誘惑/まーつん
 


風邪の熱に浮かされた 僕の夢の中に迷い込んできた
彼等の魂 今それを 一網打尽に葬る機会を 僕はこの手に握っていた

思い惑う僕の行く手に
澄んだ氷塊が浮かび上がる
磨き上げた水晶のように
月の明かりに瞬いていた
 
゛あれが あなたの目覚め
 あの氷山にぶつかったとき
 あなたの夢は、その船体ごと砕け散り
 長椅子の上で 我に返る事でしょう
 そうなる前にけりを付けたければ
 今すぐその身を揺らすこと
 然すれば目覚めた暁に
 彼等はみんな死んでいる

 そしてあなたの記憶から
 彼等はみんな消えている ゛

僕が迷っている間にも
氷山は容赦な
[次のページ]
戻る   Point(6)