海の誘惑/まーつん
に
風邪の熱に浮かされた 僕の夢の中に迷い込んできた
彼等の魂 今それを 一網打尽に葬る機会を 僕はこの手に握っていた
思い惑う僕の行く手に
澄んだ氷塊が浮かび上がる
磨き上げた水晶のように
月の明かりに瞬いていた
゛あれが あなたの目覚め
あの氷山にぶつかったとき
あなたの夢は、その船体ごと砕け散り
長椅子の上で 我に返る事でしょう
そうなる前にけりを付けたければ
今すぐその身を揺らすこと
然すれば目覚めた暁に
彼等はみんな死んでいる
そしてあなたの記憶から
彼等はみんな消えている ゛
僕が迷っている間にも
氷山は容赦な
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