タバコを一本/凪 ちひろ
 
タバコを一本吸う夢を見た
しけた不味いタバコだった
そういやわたしはあれを一度も吸ったことがない

「一本目は不味いもんだ」
「二本目で上手いと思ったら中毒だ もうお終いだ」
と予備校の歴史学の先生は言っていた


そんなことはまあいいとして
今朝散歩に行ったら
近所の空き地がすっかりなくなって
家が何軒か建っていた
そこは昔 白いうさぎを散歩に連れて行った 思い出の場所

うさぎの散歩というのも奇妙だ
リードをつけて歩いた
そういえば 最近は猫にもリードを付けている人がいる

「うさぎなんて食べるもんだ」
と言っていた祖父は いつの間にか
二代目の我が家
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