ツブリ・ベブル・バルレ/ホロウ・シカエルボク
 
のは日付変更線の瀬戸際だった、なあ、変更されるのはなんだい、新しい日付に朱色の唾を吐きながら安い時計に話しかける、安い時計は分の単位をひとつだけ先へ進める、それは変更ではない、と俺は考える、それは変更ではない、トラック・レースのコースに置かれる距離を示すコーンのようなものだ、そうだろ?時を刻む音などまるで聞こえないのに、こいつは時計と名付けられている、それは変更ではない、そうだろ?古くなったスピーカーがアンプの奥底から立てる小さなノイズのような音が頭の中で鳴り続けている、耳を澄ますとツブリ・ベブル・バルレと呟いているようなノイズ、ツブリ・ベブル・バルレ、ツブリ・ベブル・バルレ、俺の肉体は微細なドッ
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