「アパート」四歳の記憶/ドクダミ五十号
 

お便所があり

当然の如くのアンモニア臭を

誰が置いたか牛乳瓶に造花

竹で編んだ四角い器には

所々に点としていろがある紙

縮のシャツの様な

廊下の右には四畳半への扉

並んでいる

畳は一間の窓から刺す陽で焼けて

壁は白いモルタルに色つきの繊維が窮屈

押し入れはあるがそれだけだ

裸電球が粗末な作りの傘の下

ソケットはコンセントの距離だけ

本来の目的を傘に果たすを妨げ

便利な折りたたみの膳は

つましさを壁の白に跡を残す

鎧の様な杉板張りのツマから

陶管の茶色は艷やかに鉛直で

コンクリート作りの行き
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