「アパート」四歳の記憶/ドクダミ五十号
 
行き着く所に落下する

ふみは部屋の番号を振ったオープンな箱に

下駄箱の上にある

となりは職工さんで

おかみさんとだんな

子供は三人

人生に疲れた結髪とほつれ毛

さらし粉とは無縁の割烹着

着色してはあるが粗末な買い物カゴ

茶色く丸いカスカスの玉で舗装された

鉄臭くどんよりとした空の

救いがあるようで無い

遠景に煙突と立ち昇るけむり

リアル・セピアな町と

二階建てアパート

幼く知らない四年の魂は

どうやら意図せずに

鼻孔の奥や

マナコの印画紙に

記憶として残そうとしたか

似た色と匂いがすると

うろたえる程に探してしまうのだ
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