供述によるとお前は……/木屋 亞万
服を着ていないのだ
クローゼットにもゴミ箱にも女の服はない
不思議なことにお前は女の着ていた服を覚えていない
供述によればお前は
それから女の身体を注意深く観察した
白い肌は陶器のようになめらかだった
短くやわらかな産毛が粉のようで
お前は我慢できずに背中を撫でていた
一度触れたらもう手を離すことはできず
痩せた背中にぽこぽこと浮き出た骨の起伏と
白い皮の奥に色を隠した血潮の温もりを感じていた
女は何も言わなかった
最初から最後までまったく何も
だからお前は彼女の声を知らない
人魚姫のような話だ
供述によるとお前は
最初は女が嘔吐したのだと思った
つま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)