明日ぼくらは葬列に混じる/ホロウ・シカエルボク
 
にはつかないひとと一緒にしんとした車に乗る


河が何もないところに向かって緩やかにカーブするところにもう開いていない駄菓子屋があったじゃない、半分ボケたおばあさんがある日道路から河原に落ちてしまって死んじゃった駄菓子屋、あの駄菓子屋の勝手口はずっと鍵が開いていてさ、そのことを知っているのはぼくたちだけだったね
動物たちを埋めたあとはいつもそこに忍び込んで、分厚い木戸の隙間から入ってくるひかりを見ながらカビ臭い畳に座っていたっけ
そんなことあんまり知らないころからなんとなくキスしたりなんかしてた、たぶんドラマかなんかで覚えて
ぼくはいまでも覚えている、それはぼくらに相応しい秘密
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