蒼い思考 デッサン/前田ふむふむ
うな視線
心拍が激しく血液を流れて
わたしのからだは 殻におおわれた
雨はやんだらしい
あれから梅雨のまんなかで
泣くのをやめたのだ
夜は静かになり
新しい羽毛ふとんをしいている
鈴を鳴らすと
眼の前の
ロウソクが揺れている
そうだ、
なぜ飛んでいるのか
わからなかったが
あの塔を飛ぶの鳥の群れを
もうずいぶんとみていない
毎日 飛んでいた空が
燃えている
ロウソクが
やがて消えると
あたりは暗くなり
わたしは 座ったまま
白い羽毛ふとんに包まれて
眠っていった
背中のほうから 湿った呻き声が聞こえた ベンチで まどろんでいたわたし
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