一月の空?デッサン /前田ふむふむ
 
 ひかりが戸の透き間からさしてくる そのひかりが とても羨ましくて 外の物音がなくなるころを見はからい ひかりのほうに訪ねて行ったりしたが いつもその場所には 古い半袖のワイシャツが 掛かっている そして 簡単に解ける計算式が書いてあった ぼくがふくみ笑いをすると 古い半袖のワイシャツは 不満そうに燃えだして カッターで手首を切った 朝が噴きだしてきて 新しい計算式を空に書いた
一月の空に
   

気がつくと 子供がわたしの横に座っている 二人で計算式を眺めてみた
やがて子供は悲しそうにして この部屋は暗いね といって少し怯えている
だから 優しく子供を抱いて 寝かしつけた 子供の心
[次のページ]
戻る   Point(5)