一月の空?デッサン /前田ふむふむ
の心臓の鼓動が わたしの心臓と共鳴している もう 数えられないくらい長い間 やわらかい脈を聞きながらわたしは子供と溶け合っていった
子供の透き間は いつしか 冷たい壁になった
戸の透き間から きらきらとするひかりがはいってくる
楽しそうな笑い声 静寂 また笑い声 テレビで ニュースのアナウンサーが
言っている 「報道 洋服ダンスの生活について」と
そういえば わたしはまだ ここから出たことがないのだ 柱時計が午前三時を打っている めずらしく頭痛はない 強い衝動がわきあがり ふるえる手が「生まれて始めてなんだ 戸を開けるのは」
雨が降っている 計算式はどうなったのだろう わたしは 忘れていた計算式が心配になりひかりの方向にむかった
二月の空に
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