(批評祭参加作品)原口昇平という名の色/いとう
 
く、「白」に対する作者の
心情が入り混じっていると思われる。それが端的に現れている部分
が、「母のまなざしに似て」と「美しい」。どちらもプラスのイメー
ジを有している(「母のまなざしに似て」は異論があると思うが、私
自身はそのように捉えている)。つまり、作者自身の意識の中では、
「白」であることはある種純粋性を保った、肯定的な在り方であり、
「白」のシニフィエに彼自身の中でネガティブなイメージはない。
彼にとって、「白」とはそのような色なのだ。属さないこと、属して
はいないこと、属すことから離れていること。これらがとても大切
な要素(そしてそれは戦いの末に獲得されたもの)であるよ
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