(批評祭参加作品)原口昇平という名の色/いとう
> 白には家族がいない
> 白は別れに添えられた宛名のない手紙
> 言葉を拒む
> それこそが叫びであるかのように
> みずからのいろどりのなかで凍えている
B群
> 白はある朝そっとめくられたカレンダーのあとに
> いまだ記されていない無数の日付
> 白は始まることがない
> 白は
> あなたの眼球の
> 死ぬまで何も見ることのない部分のいろ
C群
> 白は母のまなざしに似て
> くらやみのなかを満たしている
> 白は美しい黒炭のなかにある
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