(批評祭参加作品)原口昇平という名の色/いとう
 
> 白には家族がいない

> 白は別れに添えられた宛名のない手紙
> 言葉を拒む
> それこそが叫びであるかのように
> みずからのいろどりのなかで凍えている


B群

> 白はある朝そっとめくられたカレンダーのあとに
> いまだ記されていない無数の日付

> 白は始まることがない

> 白は
> あなたの眼球の
> 死ぬまで何も見ることのない部分のいろ


C群

> 白は母のまなざしに似て
> くらやみのなかを満たしている

> 白は美しい黒炭のなかにある

[次のページ]
戻る   Point(14)