【HHM参加作品】ぼくらはみんな詩んでいる!??草野心平「冬眠」を音読するために/香瀬
 
揃えて舞台としている「羅生門」は、「=境界線上で佇(たたず)む」の作品として構成されていると言えます。

 二つ目は下人の人物造形について。「面皰(にきび)」があることから「思春期」、盗人になるか飢え死にするか、善か悪か「迷い」の最中にいます。また「聖柄の太刀」とは寺社仏閣に奉納される刀のことであり、一介の下人だった男が持っていることは冷静に考えると不自然です(下人は既に盗みを働いたことが、少なくとも1度はあった)。このことから、先ほどの「迷い」は「どちらを選ぶか」という仮面を被った「悪人(盗人)として生き抜けなかった自身への自問自答」のように見ることができます。

 そして三つ目は「作者
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