家族写真?デッサン /前田ふむふむ
をあげる
「もうそれいらないんじゃないの」
「なんかに ひつようになるから・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・この隅に おいとくよ」
かさねられた恣意の山なみ
センチメンタルな「この隅に」は
忘れられていく
ときは空白を広げて
雪のように沈殿していく
わたしのなかで
家族写真のアルバムのような
厚さをはかりながら
沈殿は 沈殿を忘れる
あしたのなかへ
負債をもたない わたしは欠けている
かたむいた身体を
安定したおもさをつかむために
空腹のサルのように
あるときは 名刺の肩書であり
りんごの皮くらいの賞賛であり
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