木箱と旅先の少年 (夢喰植物)/乾 加津也
 
せば、それは行為的に不自然なことだ)
これを見てテレビの司会者はいう
おめでとう
拾い上げた小石はすべてきみのものだ
満面の笑みで少年は
白く滑らかな小石の数を
先ほどの缶に
ほお張るように詰めこんだ


+ + +


ある市場の人ごみの中で
少年は何かを探している
自分しか知らない
秘密の場所に隠した宝物が思い出せないという
しかしそれはいつものことで
彼の祖母がそれを見つけて回るのだとも
市場の中を
少年はどんどん歩き続ける


+ + +


わたしは窮屈な家具屋に入る
家具はどれも人の背丈の2倍ほどある
家具の良さは
その正面に寝
[次のページ]
戻る   Point(12)