11月の海流は。/元親 ミッド
 
のきらびやかで眩しい夜の街をゆく。



スーツの上に、何か羽織ってくれば良かったと

己の準備の悪さを後悔しながら

冷たい海流の中を逆らって歩く。



車道には、座礁したタクシーで溢れかえり

笑いながら腕を組んであるくカップルや

くたびれて帰路を彷徨うサラリーマン

バス停で各々の携帯電話を一様に覗き込んでいる一団

塾帰りであろう制服の高校生

楽しそうにグルメの話題で盛り上がるOLさん



それらの群衆の上を、西鉄電車が

夜空を駆けるトナカイの如く

その四角い窓を煌々と光らせて流れていく。

あそこには、毎年、これ
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