手錠とその因果/MOJO
のアパートの近所に路上駐車したが、翌朝、タイヤに白いチョークで印しがしてあり、ドアミラーには黄色い輪が括りつけてあった。
たかだか駐車違反で逮捕するというのか。それも一度だけではないか。よりたちの悪い者は他に大勢いるのに何故自分なのか。
ひと通りの抵抗は試みてみた。しかしふたりの男は慇懃に
「規則だから」と言い「自分たちが逮捕を決定したわけではない」と言った。
常套句で辛抱強く応じる彼等に、私は抵抗を諦めた。部屋に戻り、パジャマから軽装に着替え、携帯電話をジーンズの尻ポケットにねじ込んだ。
私は背の高い方の男から後ろ手に手錠を掛けられ、アパートの脇に停まってるクルマの後部座席に座
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