手錠とその因果/MOJO
 
に座らされた。手錠を掛けた男が私の左側に座り、令状を出した男が運転した。
 早朝の道路は空いていた。私は葉を落とし始めた街路樹の枝に停まり、鳴き交わしている鴉たちを眺めながら、この屈辱的な状況に対して、どう折り合いをつけるべきかを探っていた。
「手錠は大げさだけど我慢してくれよな」
 私の左側に座った男は、私があっさり投降したことに安心したのか、そんな言葉をかけてきた。
「どこに連れて行かれるんですかね?」
「C署です。そこで調書を取ったあと簡易裁判所へ移送され裁判を受けてもらう」
「裁判って、拘留されるたりします?」
「いや、裁判と言っても手短なもので、大抵は数分で終るよ。罪を認め
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