うしろのおっさん/川上凌
 
ろにいるおっさんは、前のめりになっているから、必然的にわたしと距離が近くなる。バスという狭い空間の(しかも、座席も近い…)中で、前のめりになることは、ちょっと遠慮してもらいたいのだ。でもここでわたしが前のめりになってしまったら、きっと前の座席に座る女子高生は少し怪訝な顔をするだろう。

女子高生のためにも、

我 慢 す る し か な い !

あともう少しの我慢だとおもって、まるで修行僧のような心持で、ひたすらおっさんの目的のバス停に着くのを待った。
その間もおっさんは遠慮なしにひたすら呟き続ける。

わたしは終点で降りるし、田舎だからバス自体、30分に一回くらいの割合でし
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