パス/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
ていた。
そんな中学校でも、当時まだ塾に通う同級生は少なかった。
教育に意識的な親を持つ生徒が通わせていただけに過ぎなかった。
もう受験戦争と言われはじめた時からずいぶんと経っていたが、地方という事もあって、まだのんびりしていた。
「俺らもやっぱ塾とか行かなきゃいけないのかな。貧乏だからなーウチ」
「いいじゃんまだ」
「まあ勉強きらいだし」
「じゃあ、そろそろ始めようか」
会話が済むと、晴田が促してまたパスの練習を始めた。
あいかわらず奥山のパスは右へ、左へと飛ぶが、練習の成果が出たらしく、少しずつまともな方向へ行くようになっていった。
「よくなってきたじゃん」
「
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