パス/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
、割りに大きな家だった。奥山は低所得者層が集まるアパートに住んでいたので、家に行くたび晴田の事をうらやんでいた。
 晴田が玄関を開けると、晴田の母親が出てきた。美人ではなかったが気さくな母親で、いつも奥山の事をかわいがってくれていた。
「まあ、また義春につきあわされてたの? 大変だったでしょう、あがってジュースでも飲んでいきなさいよ」
「えー、家に帰るの遅くなるんで、帰ります」
「いいじゃん、ちょっとだけだよ」
「でもさあ」
「そう、じゃあちょっと待って」
 晴田の母親は奥のキッチンへ消えたかと思うと、オレンジジュースが入ったコップを手に持って、笑顔ですぐに出てきた。
「じゃあこれ
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