雨は降り、風は吹き、虫はどこからでも出ていく/ホロウ・シカエルボク
ように容赦無く走り抜け、それが終わるといつも表通りはやれやれという感じで少しだけ静かになった、どこかでタクトに従っているかのように雨と風は交互に主張をし、俺は耐えがたい吐気を感じて起き上がろうとしたがなにも間に合わなかった、俺は畳の上にすべてをぶちまけた、投身自殺者が路面に撒き散らす脳漿みたいに畳の上に広がった吐瀉物の中から複数の泡が生まれ、それは増殖してあっというまに吐瀉物の表面を満たした、あああ、と俺は叫んだ、俺が戯れに飲み込んだ糞虫、あいつは…!その小さな泡共が次々に破裂してプラチナ色の糞虫が次々と生まれ、数度よろめいたあと羽を広げてふうと中空に浮かんで、辺りを見回す様な仕草を見せたかと思う
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)