雨は降り、風は吹き、虫はどこからでも出ていく/ホロウ・シカエルボク
 
格好をして、そしてまたあの時と同じように紫色の光にすっぽりと包まれていた、おそらく発光しているのだと思うが…それはなにかセロファンで出来ているみたいに俺には見えたんだ、どうしてこんなところにいるんだ、と俺は彼らに話しかけた、彼らは一瞬こちらに注意を払ったが、まったく何を言っているのか理解出来ない様子で、学者のように首を横に振っただけだった、それから彼らはずっと俺のことを見ていた、黙って…なにをしているんだと俺はもう一度聞いてみた、今度も彼らは黙ったまま首を横に振った、ああ、と俺は思った、この二人はいったい何なんだ、この閉塞感は…欠けた茶碗に満ちた夜はいったい…?路面電車はすがりつく雨を振り解くよう
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