雨は降り、風は吹き、虫はどこからでも出ていく/ホロウ・シカエルボク
 
ち始め、目は明りを見ることが出来なくなった、眩しすぎると感じて仕方がなくなったのだ、俺は右の肩を畳にすりつける感じで横になり、両手で顔を隠して光を感じないようにした、まるでそういう手段しか持っていない女が泣いているみたいな格好になった、しかし、当然ながら、そんなことに気を配る余裕などあるわけもなく…俺は応急処置的な暗闇の中で、懐かしい亡霊に遭遇した、あれはまだ幼稚園にすら行ってない頃のことだと思う、今はおそらく開放していない地元の城の通路の中で、平安貴族のような格好をした男と女の姿を見たことがあったのだ、二人は城の廊下で酒を酌み交わしていた、懐かしい…その懐かしい二人はあの時とまるで変わらない格好
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