雨は降り、風は吹き、虫はどこからでも出ていく/ホロウ・シカエルボク
しているみたいなリズムでノックして、欠けた茶碗は倒れた時の俺の腕に弾き飛ばされて壁の隅まで転がっていった、雨が激しくなり、機銃掃射のように激しくなり、テレビからは生埋めのニュースが流れ、そのボリュームは果てしなく大きくなり、迷い込んだ哀れ蚊は力尽きて落ちた、そのまま糸を手繰るようにしばらく肢を動かしていたが、それは花弁の一生を撮ったフィルムの早回しを見るように開いて動かなくなった、俺は鼻で呼吸をすることが出来なくなり、確かに呼吸するんだという意志を持って唇を突き出し、ふううふううと懸命に息を吐いた、呼吸が難しい時は息を吸うより吐けと昔何かで読んだことを覚えていたのだ、そのうち身体が激しくのたうち始
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)