雨は降り、風は吹き、虫はどこからでも出ていく/ホロウ・シカエルボク
夜は欠けた茶碗に満ちた、俺は糞虫の死骸を拾って食い、その茶碗に茶を注いで飲み干した、雨が小賢しく降り、風が騒々しいこの日はまるで、二匹の蛇がいつ果てるともしれないまぐわいをしているみたいで…汚れた夜を飲み込んだ俺の胃袋は一寸の間きょとんとしてそれから、羽化のようにアタフタし始め、上と下の管が絡まらない上手な宙返りをした、杏仁豆腐が詰まったみたいなぶるんとした閉塞感が上の穴から下の穴までの間を支配し始め、体温は株価のように急激に下がった、唇が震え…目一杯声を張り上げるときのアレサ・フランクリンみたいにさ…それから目眩がして俺は畳の上に仰向けに寝っ転がった、心臓はタンギングの練習をして
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