【批評祭参加作品】大手拓次のこと/佐々宝砂
 
私は大手拓次にはなれそうにない。私は結局、単に人づきあいの悪い人間なのである。


 ボードレールやベルレーヌなどのフランスの詩人に影響を受けた大手拓次の詩の多くは、フランス流の象徴詩である。象徴詩とはなんぞやということを解説すると、しちめんどくさくて退屈でそんなもの誰も読まないだろうから、説明ははしょる。実を言うと私には、巧く説明できるという自信がない。しかしよくわからなくても「この詩、いい!」と思うことはできるので、とりあえずひとつおためしあれ。



「 青狐 」 大手拓次

あをぎつねはあしをあげた、
うすねずみいろのけばだつた足をふうわとあげた
そのあしのゆびに
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