『彼女の朝』/川村 透
 

 たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
 とか、だって。


彼女は、朝に、微笑む
僕は夜にウインクする

--朝につきあっていたら夜にきらわれてしまう僕には彼女の微笑みが
 いとしい白いスーツの彼女と手をつないでかみさまの前で、高校生
 みたいにドキドキして正座しながらどこか遠いところにいる今はもう
 死んでしまったともだちのことを思い出して。
 ああ、僕はあいつの笑った顔を思い出せない、どうしても思い出せない
 彼女の言うとおり早起きさえつづけていれば死なないで済んだっていうのか?
 今もどこかで笑っていられたって言うのか?
 夜は
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