『彼女の朝』/川村 透
 
夜は答えない僕は笑えない彼女はくすくすと笑うんだ。
 かわいくて真顔になって僕は口笛を吹くこんなときは関係ないことを
 話せばいい、ぜんぜん関係ないことで彼女を煙に巻いてごまかすんだ
 思いつかない、ま、いいやいつものように話しかけてみるか
 たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
 とか。


彼女は朝の窓を開ける
僕は、夜の帳を、開く

--少しつかれた。かも?もうどれくらい話しているんだろう。前もこんな
 風に話したことが。ええそうよ。いつもあなたはいつも君はいつだって
 こんなにええそうよわたしはそうだ僕もそうだ、ふふ。


彼女は朝のキッチンで歌う
僕は深夜のシャワー浴びながらシャウト。

--たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
 とか。
 たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
 とか、たとえばあのテーブルクロスについて、
 とか、さ。



--おはようございます

彼女は朝のことばを話す
僕は夜の体で。





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