『彼女の朝』/川村 透
なあの、
たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
とか。
彼女は朝の、深呼吸をする
僕は夜のため息を噛み殺す
--空気はバニラの香りがする彼女はせっけんで手を洗う僕はあくびとため息
たいくつで健やかな朝に彼女は深呼吸をしてかみさまと話そうって言う僕
はまだ口臭に夜が残っていてまだまだ汚くて変に匂ってすすぼけてひかり
の中で爪先立ちする彼女は10cmだけ浮かんで小さな雲を仰いでいるんだ
ああ、青いわ。うん、蒼い、ね。忘れないで忘れないさ
僕は君のわたしはあなたと何度でも話そうもういちどむしかえすよう
だけど、わかっているはず
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