『彼女の朝』/川村 透
眠れないの。眠れないんだ。起きて話そうさあ、さあ
たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
とか。
彼女は朝の、愛を実践する
僕は夜の香りに恋していた
--僕たちは毎日のようにパンとミルクみたいに混ざり合う朝はなんて
きれいなんだ夜の髪、夜の神、朝になればミルクも乾くびしょぬれの
朝と夜をこんがりトーストして狐色の朝焼けがキッチンに差し込む
夜は朝に恋していたい朝は夜を愛で焦がしたい朝のひかりと夜の色が
テーブルで出会ってしまったもう少しこのままで話そう
たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
とか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)