山本太郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
わば問いの前提作業だといってよいでしょう。例えば上記の作品では、人間の醜さに対する山本の憎しみが綴られていますが、それは、人間がこれだけ醜いのだ、ということの表白であり、それ自身が問いではないです。むしろ本当の問いは、この詩を前提に、「こんな醜い人間存在を神よお前はどう考えるのか?」という形で発されるはずです。
ところで、山本は問い自身ではなく問いの前提を書きつづった、まさにそのことによって、読者に対して非常に開かれた作品を生み出したと言えるでしょう。例えば、「わが市にはこんな問題がある。それについてあなたはどう考えるか?」という問題提起を考えてみましょう。「あなたはどう考えるか?」の部分は、
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