山本太郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
の匂いは土にしみ
暗い未来をはいめぐる
永劫蠕動
イツノ日カコノ俺ハ失セテモシマイ
テナヅケラレテ 失セテモシマイ
遠く愛より放たれて
暗い血をうけて匍う
じつに弱者の歴史なるに
なお 消(ケ)ぬか
さかしらの
文明人達
山本太郎の詩から感じられるのは、人間の悲惨さや滑稽さを真っ向から受け止める強さと、それを生々しく陰惨な言葉で虚空へと放っていく弱さです。わざと卑俗な言葉を使ったり、呼びかけを多く使ったり、とにかく現世の人間のきれいごとでは覆いきれない部分を、切迫した語調で唄っていきます。
人間を苦しむ神、いや、俺を苦しむ神がどこかにいな
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