山本太郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
蛇蝎の唄
鏡にむかって唱える
おのれ 醜(シュウ)
どろあしで ふみにじる
鏡に 流るる どろえきのしたに
ちぬらるる
おのれ 蛇蝎の族(ウカラ)
韜晦を重ね
はや とおかいに心しびれ
おのれに 内射の眼を 蒸し殺し
誇りもしたのか
じだらくの智恵を
鏡面に醜たる
醜たる おのれ わらい わらいの
なお きたならしき
じだらくの智恵を
おのれ 醜
醜を恃む 蛇蝎の
この「いま」をなげうっては
逃げようとする
その みにくい
弱いゆえに狡猾な
死さえ装っては 隣人を狙う
ああ 遠くでは銃声がなってゐて
爛壊(ランエ)の匂
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