我がうちなる銀河を低空飛行する/五十嵐 敬生
こめる
豊かな色彩の影を
複雑に追えば
ここはどこですか。
罪状は何ですか。
土手の壁のささやきに沿って
流れていく柵(ぼく?)は、
志木大橋を通過して踏み切りに向かう。
五月八日、午前九時。野辺山駅へ向かう高原の道路をゆるやかに曲がり、小海線の小さな踏切に出る。柵の中の送電塔と鉄路の記憶にすがる指は傷ついている。ああ、昨日バスで通過した米軍基地も白い柵で囲まれていた。どこかで離陸するジェット機の音。送電塔の横を通過する線路は暗い川に延びていく。
歩行幻覚、
発生の事実。
踏み切りにひざまずきカーブする線路の彼方を見つめているファインダー。
雪をかぶる八ヶ岳のい
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