我がうちなる銀河を低空飛行する/五十嵐 敬生
 
のいただきと灰色に光る線路がぼくの中に入り込んでくる。
銀河一ミリメートル奥の痕跡が残されている線路、線路の中で響く別の島宇宙の声…………………………………………に漂着する。

新たな亡命地を求める脱走兵。

銀河、超銀河の分岐点を呪う道は踏み切り、滅亡したぼくが復活しない巡礼の道だ。

ぼくは
巡礼に同行する言葉の中で
不思議な溺死をする

病める視線に残された百億光年の色彩、電波望遠鏡(東京天文台野辺山観測所)まで二キロメートル。
素足は汗ばんでいる。
(何故大地に戻れないのか)
霊感よ何処へ流れていくか。
神も遠い記憶になっていく廃坑の入り口、銀河再脱出の夢。
白い砂利に身を沈めたぼくは巨大な受信装置の影。
ぼくは車庫で眠れない。
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