我がうちなる銀河を低空飛行する/五十嵐 敬生
 
詩の辞典にしてしまうあなた。

現在形の街の底でしか生きられない、
夜の映像に向かう異邦人の残響が、
ぼくの重い指先に絡まって離れない。
欲望の激しく点滅する歩道で文字の無力感に耐える。

<我がうちなる熱河を低空飛行する流浪の日々よ>

愛に類似したアルトサックスの深夜に時には気絶し、
ぼくは放心しながら詩の入り口に佇む。
欲情のない充実感が超越の試論を産み、ぼくは宇宙との闘争を覚悟する。

爆心地よ!
白紙上の銀河通行証よ!

超銀河の壁よ!

<星雲の中心でまだ銃声は響いているか>

ああ!天も地も幻だった。

新たな星雲探査、
新たな星雲探査、
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