遺書にはならない足跡 2/セグメント
を操作し、質問をし、メモを取る。その繰り返しの日々だった。残業もあった。だが、それほど私は苦ではなかった。定時が十六時だったことで、残業をしてもそんなに遅くはならないし、何より、仕事を覚えたかった。しかしながら、だんだん日を重ねるにつれ、私は不安になって行った。出社日、私は何かしらの新しいことを教わる。
それに加え、今までに習った通常の業務もある。私は、いつになっても新しいことを教わらない日が来ないことが不安だった。このペースで引き継ぎは終わるのだろうか、と。
案の定、引き継ぎは終わらなかった。かなり早口で、次々と色々なことを教わった場面もある。終わらなかった引き継ぎ分に関しては、前任者が退
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