遺書にはならない足跡 2/セグメント
が退職後も出社し、私に教えてくれた。
そして、仕事に就いて約二ヶ月目、私は一人で経理事務をこなさなければならなくなった。直属の上司というものは存在せず、私の仕事内容について知っているのは、退職した前任者だけという、非常に不安な渦の中で私は日々、仕事をした。頼れるのは自分と、メモと、分厚いマニュアルだけだった。勿論、私の仕事の一部は、他の人の仕事とも関連しているので、他の人に質問する場合もあるし、その時は、教えて貰える場合もある。だが、複雑な請求書作成や、会計ソフトへの入力の仕方、一ヶ月のスケジュールは私しか把握していない、という状況だった。
厳密には、私自身も、全てを把握出来ていたわけでは
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