遺書にはならない足跡 2/セグメント
 
たような助言を繰り返しただろう。主治医に言われたのだが、切迫している時に相談をしても、本人はその内容や貰った言葉を忘れやすいのだそうだ。だからなのか分からないが、私は似たような相談を繰り返しているという自覚はほとんど無かった。毎回、ほぼ新しい相談を彼にしているという認識でいたのだ。しかしながら彼からすれば、この相談は以前にも受けたし助言もしたのだけれどな、沢山の時間を割いたのに伝わっていないのかな、という思いでいたのかもしれない。本人に尋ねたわけではないので全ては私の推測に過ぎないが。
 多忙な彼は、多くの時間を私に遣ってくれた。だが、私は残念なことにその結果をあまり活かせなかった。結果、彼は疲
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