遺書にはならない足跡 2/セグメント
ろうか。
ともかく、一緒に昼食を食べたり、七十〜八十年代の洋楽の話をしたり、ドラゴンボールの話をしたり、お菓子を食べたりと時間を重ねて行く内に、私は父が大好きになった。
だが、そんな折、父が入院するという話になり、軽い胃潰瘍だと聞いていたのだが、入院が長引き、しかも県外の病院に転院するという話になった。私はこの時点で、胃の調子が悪いものだと信じていたが、のちに母から聞いた話では、転院先は癌専門治療の病院だということだった。父は最期まで、私に癌だということを言わなかった。何故だろうか。
しかしながら、母から父は治ると聞いていたので、手紙を書いた。治ったら一緒に暮らそうという内容の手紙だ。私と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)