遺書にはならない足跡 2/セグメント
 
私と父は、何度か会って話をする内に、一緒に暮らそうという約束をしていた。私は料理を頑張る、仕事を頑張ると、本当にその生活のことを楽しみにしていた。けれども、手紙に同封した、返信用切手が使われることはなかった。私が手紙を出した約一週間後、父は亡くなった。
このことを、私は約六年が過ぎた今でも、昨日のようのことに思い出す。落ち込んだ時、悲しい時、何故、父は約束を守ってくれなかったのか、何故、私は今、ひとりで暮らしているのか、考え込んでしまう。
十二月十五日も、そうだった。わけもなく悲しくなり、泣き、そして、父を思い出した。
思えば、この日は天候が良くなかった。曇ったり雨が降ったりしていた。メンタ
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