遺書にはならない足跡 2/セグメント
 
性は女性と違って、特別に表に出て来たいというわけではなさそうで、普段も話し掛けて来ることはなかった。こんにちは、から始まった少々の会話を最後に、しばらく鳴りを潜めていたのだが、男性の人格が生まれたことを恋人に話したところ、恋人が男性と話をしてみたいと言ったので、入れ替わってみることにした。
 話の内容は例によって、あまり覚えていないが、「傍観者である」ということを強調していたように思う。一人称は、「私」であったり「俺」であったりした。ここで恋人と男性の会話を聞くまでは、私のイメージとしては、「涼宮ハルヒの憂鬱」に登場する、「古泉一樹」であったのだが、会話内容を聞いてみると、どうも、ちゃらい奴だと
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