遺書にはならない足跡 2/セグメント
 
。これはひどく怖い状態だった。何故、自分がここにいるか分からない。これから何をしようとしていたか分からない。私は、自室をぐるりと何度も見回した。確認するように。ここは間違いなく自分のいた部屋で、先程から連続した時間の中で私はここにいるのだと再認識するかのように。
 この頃には、頭は非常にぼんやりとしていたが、子供のような人格ではなく、私本人に切り替わっていた。以降、本日、二〇一二年十一月十九日に至るまで、子供のような人格が表面化したことはない。脳味噌の中で、性別不詳の子供はいつもおでこを下にして眠っている。他の人格と会話している様子もない。私本人と切り替えようと試みたこともない。実際、してみれば
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